こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。
前回は、働き方改革とDX推進をテーマにしたイベントを振り返りながら、小さな会社におけるデジタル化の第一歩についてお話ししました。今回はその続きとして、経営者の皆様からご相談を受けることが多い生成AIの具体的な活用について考えてみます。
「AIは賢いらしいけれど、うちの業務にどう使えばいいのかわからない」というお悩みをよく耳にします。新しい技術を前にすると少しハードルが高く感じられますが、実は身近な業務の負担を減らす強力な味方になります。
今回は、小規模事業者が無理なくAIを日常業務に取り入れるためのヒントをお伝えします。
AIは検索エンジンではなく対話相手として使う
多くの方がAIをインターネット検索の延長のように使ってしまい、期待した答えが返ってこないとすぐに見切りをつけてしまいます。AIは単に情報を探す道具ではなく、言葉のキャッチボールができる優秀なアシスタントだと考えてみてください。
たとえば、「高知県の助成金」とだけ入力するのではなく、「高知市内で従業員5名の飲食店を経営しています。従業員の研修に使える助成金にはどのようなものがありますか」と具体的な状況を伝えます。
相手に自分の置かれている背景を丁寧に説明するように話しかけることで、より実情に沿った回答を引き出すことができます。人間同士の会話と同じように、前提条件を共有することが大切なのです。
言葉にする作業が自社の課題を明確にする
前回の記事で、AIを活用するには人間が文脈を作る能力が必要だとお伝えしました。これは言い換えると、自社の抱える課題や要望を的確に“言語化”する力です。
AIに対して「こんな文章を作ってほしい」「この業務を効率化するアイデアを出してほしい」と指示を出す過程で、経営者自身が「実は自分はこういう部分に手間を感じていたのか」と気づくことがよくあります。
頭の中にあるモヤモヤとした悩みを文字に起こす作業は、思考の整理に直結します。AIに指示を出すための準備そのものが、会社の現状を客観的に見つめ直す良い機会になるはずです。

身近な文章作成から業務の手間を減らす
では、実際の業務にどう取り入れればよいのでしょうか。いきなり複雑な業務の自動化を目指す必要はありません。
忙しい経営者の方がまず確認することは、日常的に発生している「文章を考える時間」です。たとえば、ハローワークに出す求人票のアピールポイントの作成や、従業員へのお知らせ文、お客様へのお礼状の下書きなどから試してみてください。
「この条件で求人票の文章案を3パターン作って」とお願いするだけで、ゼロから考える時間は大幅に削減できます。AIが出した案をそのまま使うのではなく、自社らしい表現に手直しするだけで済むため、心理的な負担も大きく軽くなります。
試行錯誤の過程がコミュニケーションの質を高める
AIとのやり取りは、最初から完璧にうまくいくことばかりではありません。思ったような結果が出ないときは、言葉が足りなかったのか、伝え方が曖昧だったのかを振り返り、指示の出し方を工夫する必要があります。
この試行錯誤のプロセスは、実は従業員に仕事を任せるときのコミュニケーションとよく似ています。相手にわかりやすく意図を伝える練習だと捉えれば、決して無駄な時間にはなりません。
私たちの事務所が目指す「働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする」という状態は、お互いの良好なコミュニケーションの上に成り立ちます。AIという新しい道具をうまく活用し、生み出された時間を従業員としっかり向き合うために使ってみてください。