会社の理念は飾りじゃない。採用と定着に効く「会社の軸」の作り方

こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。

経営者の方とお話ししていると、「会社の理念を作りたいけれど、なんだか大げさな気がして」というお声をよく聞きます。確かに、立派な額縁に入れて飾るような難しい言葉を思い浮かべるかもしれません。

ですが、小規模な会社や、これから初めて人を雇うという経営者の方にこそ、私は会社の理念を持つことをおすすめしています。なぜなら、理念がないまま採用を進めると、後々になってお互いに苦しい思いをすることが多いからです。

会社の理念とは、決してかっこいい標語ではありません。自分たちが何を大切にして、どんな思いで仕事に向き合っているのかを示す「会社の軸」です。この軸があるかないかで、職場の雰囲気は大きく変わっていきます。

「とりあえず人が欲しい」が生むミスマッチ

日々の業務に追われていると、どうしても「とりあえず今日から手伝ってくれる人が欲しい」と考えてしまいがちです。しかし、会社の軸を伝えないまま時給や休日の条件だけで採用してしまうと、少しでも条件の良い会社が見つかれば、すぐに人が離れてしまいます。

入社した直後に「こんなはずじゃなかった」「思っていた雰囲気と違う」と辞めてしまうケースの多くは、この条件面だけのマッチングが原因です。社長が「こういう姿勢で仕事に取り組んでほしい」と思っていても、それが事前に伝わっていなければ、働き手は戸惑うしかありません。

だからこそ、採用の段階で会社の考え方を伝える必要があります。ここで役立つのが会社の理念です。

理念とは「どんな人と一緒に働きたいか」の宣言

理念と聞くと難しく感じますが、要するに「私たちはこういう思いで事業をやっています。だから、こういう人と一緒に働きたいです」という宣言です。

例えば、お客様への丁寧な対応を何よりも大切にしている会社であれば、効率だけを重視するドライな人は合わないかもしれません。事前に「うちは効率よりも、お客様との会話を大切にしている」と伝えることで、その考えに共感してくれる人が集まりやすくなります。

つまり、理念は会社と働き手を繋ぐ接着剤のようなものです。価値観が共有できていると、日々のちょっとした判断で迷うことが減り、労務トラブルも自然と少なくなっていきます。

難しい言葉は不要。まずは社長の「想い」を書き出す

では、どうやって理念を作ればいいのでしょうか。立派で難しい言葉である必要は全くありません。まずは、社長ご自身の飾らない言葉で、なぜこの会社を立ち上げたのか、お客様にどう喜んでほしいのかをノートに書き出してみてください。

「地元の人に美味しいものを食べて笑顔になってほしい」「困っている人の生活を少しでも楽にしたい」といった、素朴な思いで十分です。それが社長の嘘偽りのない言葉であれば、必ず働き手にも伝わります。

大事なのは、その言葉に社長自身が納得していることです。当事務所でも「働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする」という理念を掲げています。私自身が日々この言葉に立ち返り、お客様と向き合うようにしています。

理念を日々の職場のルールに落とし込む

言葉がまとまったら、それを就業規則や日々の声かけなど、実際の職場のルールに反映させていく必要があります。いくら良い理念を掲げても、実際の職場の環境がそれに伴っていなければ、働き手は不信感を抱いてしまいます。

理念に沿った行動をした従業員をしっかり評価する仕組みを作ることも大切です。まずは、ご自身が会社を立ち上げたときの思いを書き出すことから始めてみてください。そこから見えてくる会社の軸が、きっと良い人材との出会いを引き寄せてくれます。

もし、ご自身の思いをどうルールに落とし込めばいいか迷ったときは、いつでもお気軽にご相談ください。社長の思いを形にし、働く人が安心して力を発揮できる環境づくりを一緒に考えていきましょう。