こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。
最近、学習塾や習い事教室を運営されている経営者の方から「こども性暴力防止法ができたと聞いたけれど、うちの会社も何か手続きが必要ですか?」というご相談をお受けします。いわゆる“日本版DBS”と呼ばれる制度ですね。
子どもたちを性暴力から守るための大切な法律ですが、経営者にとっては採用や労務管理に直結する大きな変化となります。対象となる事業所では、法律が本格的にスタートする前に、就業規則を見直さなければなりません。
今回は、この新しい法律にともなって、職場のルールをどう整えていけばよいのかをお伝えします。

そもそも自社が対象になるか確認しましょう
まずは、ご自身の事業所がこの法律の対象になるのかを把握することが最初のステップです。学校や保育所、幼稚園などは、この制度を利用して働く人の犯罪歴を確認することが法律で義務付けられています。一方で、学習塾、放課後児童クラブ、スポーツクラブなどの民間事業者は、一定の基準を満たして国の認定を受ければ、制度を利用できるようになります。
つまり、認定を受ける事業者にとっては「犯罪歴がないこと」を採用の条件にできる仕組みです。高知県内でも、子ども向けの教室やサービスを展開している事業所は多くあります。自社が義務の対象なのか、それとも任意で認定を受けるのかを、今のうちから確認しておくと整理が早いです。
採用時のルールを就業規則に書き加える
制度を利用する事業所が最初に取り組むべきは、採用に関する就業規則の変更です。これまでは履歴書や面接だけで判断していた採用基準に、新しく国への照会手続きが加わります。
具体的には、「採用時には、過去の性犯罪歴がないか国に照会を行うこと」や「その結果によっては採用を見送ること」を、会社のルールとして就業規則に明記する必要があります。求人票を出す段階でも、この照会を行うことを応募者に伝えなければなりません。
働く側にとっても、自分の個人的な記録を確認されることになります。だからこそ、会社としてどのような手続きを踏むのかをあらかじめルールブックに定めておき、双方が納得して雇用契約を結べる状態を作ることが大切です。
今いる従業員への対応と配置転換の規定
採用時だけでなく、現在働いている従業員への対応も重要になります。もし、照会によって今の従業員に性犯罪歴があることが分かった場合、子どもと直接関わる業務から外さなければなりません。
そのため、就業規則には「配置転換を命じる場合があること」をはっきりと記載する必要があります。小さな事業所では、配置転換先となる別の業務を用意できないケースも考えられます。その場合はどう対応するのか、解雇や退職の規定とあわせて慎重に検討しなければなりません。
また、この照会で得た情報は非常にデリケートなものです。情報の取り扱いを間違えると、重大なトラブルに発展します。情報を漏らしてはいけないという守秘義務や、違反した場合の懲戒処分についても、しっかりとルールを整備してください。
働く人も子どもも安心できる職場づくりを
ここまで、新しい法律に向けた就業規則のポイントをお伝えしてきました。ルールを変更するとなると手間がかかりますが、決して単なる罰則や縛りを作るためのものではありません。
大事なのは、会社が子どもたちをしっかり守る姿勢を示すことで、そこで働く従業員自身も「ここは信頼できる安全な職場だ」と安心して仕事に打ち込める環境を作ることです。「働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする」と私は考えています。
法律が本格的に施行されるまでにはまだ少し時間がありますが、就業規則の変更や新しい運用ルールの作成には時間がかかります。まずは自社が対象になるかどうか、身近な専門家や行政の窓口に確認してみてください。お悩みがあれば、いつでもご相談をお待ちしています。