従業員の問題行動に悩む経営者へ。焦らず取り組むべき初期対応とは

こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。

会社を経営していると、従業員の態度や行動について頭を抱える瞬間が必ずあります。遅刻を繰り返す、お客様への言葉遣いが乱暴、あるいは何度指示しても自分のやり方を押し通してしまう。少数精鋭で頑張っている職場ほど、一人の問題行動が全体の雰囲気に暗い影を落としてしまいます。

一生懸命やっている他のスタッフへの悪影響を考えると、すぐにでも強く叱りつけたくなるかもしれません。場合によっては、辞めてもらいたいとまで思い詰める経営者の方もいらっしゃいます。

だからといって、感情に任せて行動してしまうと、後になって大きな労務トラブルに発展する危険性があります。今回は、会社と真面目に働くスタッフを守るために、問題行動に対してどのように向き合えばよいのかをお話しします。

まずは客観的な事実を記録する

問題行動が起きたとき、経営者が最初にやるべきことは事実の記録です。「態度が悪い」「反抗的だ」という抽象的な印象だけでは、いざという時に説得力を持ちません。

たとえば「10日の火曜日、午後2時の会議で、他のスタッフの意見に対して大声で怒鳴った」というように、日時、場所、具体的な行動をメモに残す必要があります。人間の記憶は日にちが経つと曖昧になってしまうからです。

手書きのノートでも、パソコンのメモ帳でも構いません。この小さな記録の積み重ねが、後で会社を守るための重要な客観的証拠となります。まずは事実だけを冷静に書き留めることから始めてみてください。

感情を抑えて対話と指導を行う

事実を把握したら、次は本人への注意と指導です。従業員を正しい方向に導くのは会社としての義務ですから、問題を放置してはいけません。

ここで大事なのは、怒りをぶつけるのではなく、行動の改善を促すことです。個室など他の人の目がない場所に呼び出し、記録した事実をもとに「この行動は直してほしい」と具体的に伝えます。そして、相手の言い分にもしっかり耳を傾けてみてください。体調不良や家庭の事情など、仕事に集中できない隠れた原因があるかもしれないからです。

相手の話を聞かずに一方的に叱責すると、関係性はさらにこじれてしまいます。話し合いが終わったら、いつ、どのような指導を行い、本人がどう答えたかについても、忘れずに記録しておきましょう。

会社のルールである就業規則を確認する

何度指導しても改善が見られない場合、会社のルールブックである就業規則の出番となります。常時10人以上の従業員を雇っている事業所には、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が法律で義務付けられています。10人未満の会社であっても、ルールを明文化しておくことは非常に大切です。

問題行動に対して減給などの懲戒処分を検討する場合、その処分の種類や条件が就業規則に明確に記載されていなければなりません。ルールに書かれていない理由で罰を与えることはできない決まりになっています。

つまり、就業規則は会社と従業員の双方を守るための土台です。今起きている問題行動が自社のルールのどの部分に違反するのか、一度じっくりと読み直して確認することが必要です。

職場の空気を守るための決断と相談

従業員の問題行動に向き合うのは、本当にエネルギーのいる仕事です。しかし、問題をうやむやにしてしまうと、真面目に働いている他のスタッフが「あんな態度でも許されるんだ」と不満を溜め込み、職場の活力が失われてしまいます。

おはら社会保険労務士事務所の理念は、「働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする」です。職場全体を明るく保つためには、時に厳しい姿勢で問題に対処することも経営者の大切な役割だと私は考えています。

とはいえ、一人で悩み続ける必要はありません。どのように注意すべきか迷ったり、自社のルールに不安を感じたりした時は、いつでもお気軽にご相談ください。働きやすい職場を一緒に守っていきましょう。