外回り中の労働管理と、虚偽報告への適切な対応について

こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。

営業職や保守点検など、社員が外回りに出ている時間の管理に悩む経営者の方は少なくありません。目の届かない場所で仕事をしているからこそ、“本当に訪問しているのだろうか”と不安になることもあると思います。

実際にご相談を受ける中で、日報にはお客様を訪問したと書かれているのに、実は行っていなかったという虚偽報告が発覚するケースがあります。今回は、外回り中の労働時間の扱いと、虚偽の報告があった場合の対処についてお伝えします。

外回り中の労働時間はどう計算するのか

社員が事業所の外で働いている場合でも、労働時間の管理は会社の義務です。“外にいるから何時間働いたか分からない”という理由で管理を怠ることはできません。

よく“事業場外みなし労働時間制”という言葉を聞くかもしれませんが、現在では携帯電話やチャットツールでいつでも連絡が取れるため、この制度が合法的に認められるケースは非常に限定的です。つまり、外回りであっても基本的には通常と同じように、何時から何時まで働いたかを正確に把握しなければなりません。直行直帰の場合の連絡方法など、客観的な報告のルールを明確に定めることが不可欠です。

虚偽の報告が発覚したときに会社が取るべき行動

もし、社員が“訪問していないのに訪問した”と嘘の報告をしていたことが分かったら、経営者としては裏切られた気持ちになるはずです。しかし、感情的に問い詰めるのは得策ではありません。まずは客観的な事実確認が必要です。

お客様への確認や、業務記録と実際の行動に矛盾がないかを冷静に調べます。そのうえで本人から話を聞き、事実であれば就業規則に則って注意や指導を行います。ここで重要なのは、就業規則に“虚偽の報告をした場合は懲戒の対象になる”という明確な記載があるかどうかです。ルールが明文化されていなければ、適切な処分を行うことはできません。

嘘をついてしまう背景にも目を向けてみる

虚偽の報告は決して許されることではありません。ただ、本人の怠慢だけが原因ではないケースもあります。たとえば、到底達成できないような厳しいノルマが課せられていたり、失敗を極端に責められる職場の雰囲気があったりすると、社員は怒られることを恐れて嘘をついてしまうことがあります。

私たちの事務所では“働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする”という理念を大切にしています。社員を厳しく監視して嘘を防ぐだけでなく、正直に“今日は上手くいきませんでした”と報告できる風通しの良い環境を作ることも、根本的な解決に繋がります。

仕組みを整えてお互いの信頼関係を築く

目の届かない外回りの業務は、会社と社員の信頼関係の上に成り立っています。その信頼を維持するためには、日々の細やかなコミュニケーションと、誰もが守りやすい報告の仕組みが欠かせません。

まずは、毎日の業務報告のやり方が現場の負担になりすぎていないか、あるいは形骸化していないかを確認してみてください。スマートフォンのアプリを活用して出退勤や業務内容を簡単に報告できる仕組みを導入するのも一つの方法です。ルールを明確にし、お互いが安心して働ける職場環境を整えていきましょう。