こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。
高知には、農業や観光業、小売業など、繁忙期と閑散期の差がはっきりしている事業所がたくさんあります。
忙しい時期はスタッフ全員が走り回っているのに、閑散期になるとパタリと客足が途絶え、手持ち無沙汰になってしまう。同じ棚を何度も拭き直しているスタッフを見て、頭を抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。
経営者としては、仕事がなくても人件費が発生し続けるため、どうしても負担に感じてしまいます。
だからといって、一方的に「今日は暇だから帰っていいよ」「来月はシフトを減らすね」と指示をすると、スタッフの不信感を招くだけでなく、法律上のトラブルに発展することもあります。
閑散期を単なる「コストの垂れ流し」と捉えるのではなく、会社を強くするための貴重な時間だと考えてみましょう。
労働時間を減らすときの法律上の注意点
会社側の都合で「今日は仕事がないから休んでください」と指示した場合、会社はスタッフに対して休業手当を支払わなければなりません。労働基準法では、平均賃金の6割以上の休業手当を支払うことが義務付けられています。仕事がないからといって、給与をゼロにすることはできないのです。
また、雇用契約で「週5日勤務」と約束しているのに、会社の都合で勝手に「週3日」に減らすことは契約違反になります。
つまり、安易に労働時間を削って人件費を浮かそうとするのはリスクが高いということです。休ませる前に、まずはその時間をどう生産的に使うかを考える必要があります。

普段できない業務の洗い出しと環境整備
そこで最初に取り組みたいのが、社内の環境整備です。まずはスタッフを集めて、忙しい時期には見て見ぬふりをしている「本当はやりたい業務」を洗い出してみてください。
たとえば、バックヤードの在庫整理や、新人向けの簡単なマニュアル作成、顧客データの手入力など、後回しになりがちな作業は意外と多いはずです。以前ご相談を受けた小売店では、暇な時間を使ってスタッフ全員で商品説明のポップを書き直したところ、繁忙期に戻ったときの売上が目に見えて上がったという事例がありました。
現場で働くスタッフ自身に「どこを改善すれば働きやすくなるか」を考えてもらうことで、仕事への参加意識も高まり、職場の雰囲気も良くなります。
スキルアップの時間にあてる
もう一つの有効な活用法は、人材育成に時間を使うことです。
普段は忙しくて教えられない少し難しい業務を若手スタッフにレクチャーしたり、業務に役立つ資格の勉強を勤務時間中にしてもらったりすることで、会社全体の対応力が底上げされます。
また、勤務時間内に計画的な教育訓練を行う場合、人材開発支援助成金などの助成金を活用できる可能性があります。人を育てるのには時間とお金がかかります。なので、閑散期を利用してスタッフのスキルアップを図ることは、非常に理にかなった選択です。
閑散期こそ「働く人」に向き合う絶好のタイミング
繁忙期は、どうしても目の前の業務をこなすことで精一杯になり、心も体も消耗してしまいます。閑散期は、そのすり減ったエネルギーを回復させるための大切な期間でもあります。
一人ひとりと面談をして日頃の悩みを聞いたり、これまでの頑張りに感謝を伝えたりする時間にあててみてください。
働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする。
私はいつもそう考えています。暇な時期に会社から大切にされたスタッフは、再び忙しい時期がやってきたとき、必ず会社の力になってくれます。まずはスタッフの方と一緒に、“今だからできること”を一つだけ書き出してみてくださいね。