小さな会社も他人事じゃない!従業員の健康診断、義務と進め方の基本

こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。

会社を経営していると、日々の業務や売上のことで頭がいっぱいになりがちです。そんな中で「そろそろ健康診断の時期だけど、うちは少人数の会社だから関係ないよね」「パートさんにも受けさせないといけないのかな」と悩む声をよく耳にします。

初めて人を雇った経営者の方にとっては、手続きだけでも大変なのに、健康診断まで手が回らないという本音もあるかもしれません。しかし、働く人が元気に働けることは、会社が元気に回るための大切な土台です。

今回は、経営者の方が最低限知っておくべき健康診断のルールと、スムーズに進めるためのポイントについて分かりやすくお伝えします。

従業員の健康診断は会社の法律上の義務です

結論からお伝えすると、会社は労働安全衛生法という法律によって、従業員に健康診断を受けさせる義務があります。これは会社の規模に関係ありません。社長と従業員が1人だけという会社であっても、条件を満たしていれば健康診断を実施しなければなりません。

対象となるのは、正社員のように「常時使用する労働者」です。新しく人を雇い入れたときに行う “雇入時の健康診断” と、年に1回定期的に行う “定期健康診断” の2種類が基本となります。

ここでよく質問を受けるのが、パートやアルバイトの扱いについてです。週の労働時間が正社員の4分の3以上ある場合は、パートやアルバイトであっても健康診断を受けさせる法律上の義務が発生します。まずは社内に該当するスタッフがいるかどうか、勤務時間を確認してみることが大切です。

費用は誰が払う?受診中の給料はどうなる?

健康診断にかかる費用については、会社が全額を負担しなければなりません。法律で会社に実施義務が課せられているため、従業員に自己負担を求めることはできない仕組みになっています。オプション検査については本人の負担にすることもできますが、基本の診断費用は会社が支払う必要があります。

もう一つ、経営者の方が悩むのが「健康診断を受けている時間の給料を払うべきか」という問題です。これについては、一般的な定期健康診断の場合、法律上で「給料を支払いなさい」とまでは義務付けられていません。

ただ、従業員の健康を守るための大切な行事です。受診にかかる時間も勤務時間として扱い、給料を支払うように配慮したほうが、従業員も安心して受診できます。職場の信頼関係を育むためにも、勤務時間内に受けてもらう形をおすすめします。

受けてもらった後に会社がやるべきこと

健康診断は、従業員に受けてもらって終わりではありません。診断結果の書類が届いたら、会社はそれを5年間保管しなければならない義務があります。個人情報なので、鍵のかかるキャビネットやパスワード付きのパソコン内など、管理には十分な注意が必要です。

また、結果を確認して「再検査」や「要治療」の項目があるスタッフがいた場合は、会社としてその後の対応を考える必要があります。具体的には、医師から意見を聞いたうえで、必要に応じて残業を減らしたり、業務の負担を軽くしたりする措置を検討します。

体の不調を抱えたまま無理をして働くと、大きなケガや病気につながりかねません。結果をただファイルにしまうのではなく、大切な従業員の体を守るためのカルテとして活用していく視点を持ってみてください。

まずは対象になる従業員のリストアップから始めましょう

ここまで健康診断のルールをお伝えしてきましたが、忙しい経営者の方が明日からすべてを完璧にこなすのは大変です。まずは、社内の中で「健康診断の対象になる従業員が何人いるか」をリストアップすることから始めてみてください。

正社員の人数と、週の労働時間が長いパートさんの名前を紙に書き出してみるだけで、次にやるべきことが見えてきます。人数が分かれば、近くの病院に費用や予約の空き状況を問い合わせることもスムーズになります。

働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする。私たちの事務所が一番大切にしている想いです。経営者の方も従業員の方も、みんなが笑顔で長く働ける職場環境を、まずは小さな一歩から一緒に作っていきましょう。