こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。
新しくパートさんやアルバイトさんを雇うとき、仕事の手順や接客マナーを教えるのは当然のことだと思います。
でも、お店を営む経営者の方から、“うちは事務や販売ばかりで危険な作業はないから、安全についての教育は特にしていないんです”とお聞きすることがあります。
あるいは、“細かいルールは働きながら少しずつ覚えてもらえれば大丈夫ですよね”と考えている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、働く人の安全と健康を守るための教育は、業種や仕事内容に関わらず、新しく人を雇い入れたときに必ず行わなければなりません。今回は、初めて人を雇う経営者の方に向けて、雇入時に必要となる安全衛生教育の基本をお伝えします。
どんな仕事でも安全教育は法律上の義務
労働安全衛生法では、新しく人を雇い入れたときには、その業務に関する安全または衛生のための教育を行わなければならないと定められています。
これは正社員だけでなく、短い時間だけ働くパートやアルバイトであっても対象です。危険な機械を使わないから、事務作業だけだからといって、教育を省略することはできません。
たとえば、お店のバックヤードで高い場所にある在庫を取るときの注意点や、雨の日に床が濡れていると滑りやすいといった日常的な危険も、事前に伝えておく必要があります。
つまり、どんな職場であっても“ここで働くうえで気をつけるべきこと”は必ず存在します。それらを働き始める前にしっかりと教えることが、会社に求められている義務です。
最初の教育不足が思わぬケガにつながる
長く働いている人にとっては“当たり前”のことでも、新しく入った人にはわからないことがたくさんあります。
飲食店で、熱いお皿の持ち方を知らずに火傷をしてしまった。倉庫で、重い荷物を無理な姿勢で持ち上げて腰を痛めてしまった。こうした身近な職場のトラブルの多くは、働き始めたばかりの時期に集中しています。
仕事に慣れていないうちは、職場のどこに危険が潜んでいるのかを自分から予測することが難しいからです。
だから、最初の段階で“これをすると危ないよ”“こういう手順で動いてね”と明確に言葉で伝えておくことが、後々の大きなトラブルを防ぐ防波堤になります。

難しく考えず身近なルールから伝える
安全教育といっても、分厚いマニュアルを用意して何時間も座学をする必要はありません。小規模なお店や会社であれば、実際の職場を案内しながら口頭で伝えるだけでも十分な教育になります。
火災や地震が起きたときの避難経路はどこか、仕事中に具合が悪くなったときは誰にどうやって連絡すればいいか。または、カッターナイフの安全な使い方や、脚立に乗るときのルールなど、日々の業務に直結することを具体的に教えてあげてください。
大事なのは、新しく入った人が不安なく働き始められるように、職場にあるリスクと身の守り方をあらかじめ共有しておくことです。
安心できる環境づくりが定着率を上げる
働き始めの時期に安全についてのルールをしっかり教えてもらうと、スタッフは“この会社は私たちの体を大切に考えてくれている”と感じます。
なので、雇入時の安全教育は単なる法律上の義務を果たすだけでなく、会社に対する信頼感を生み出す大切な機会でもあります。安心して働ける環境が整っていれば、せっかく採用したスタッフがすぐに辞めてしまうのを防ぐことにもつながります。
働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする。私はいつもそう信じて、経営者の皆様をサポートしています。
まずは新しく人を雇うとき、仕事のやり方と一緒に“安全のためのルール”を一つでも伝えるところから始めてみてください。もし、今の職場でどんなことを教えればいいのか迷うことがあれば、いつでも気軽にお声がけくださいね。