従業員から「育休を取りたい」と言われたら?会社が最初にやること

こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。

先日、従業員が数名の会社の社長さんから、“うちの若手が子どもが生まれるから育休を取りたいと言ってきた。おめでたいことだけど、現場が回るか不安で……”と少し慌てた様子でご相談がありました。人が少ない小さな会社にとって、誰かが長期間お休みすることは大きな課題になりかねません。戸惑ってしまうのは当然のことです。

でも、育児休業は働き手にとって大切な制度であり、会社としても法律に沿ってしっかり対応しなければなりません。今回は、初めて従業員から育休の申し出があったときに、経営者としてどのように対応すればいいのかをお話しします。

まずは“おめでとう”と希望の期間の確認を

従業員から妊娠や育休の相談を受けたとき、一番にお願いしたいことがあります。それは、まず“おめでとう”と伝えてあげることです。会社を休むことに対して、従業員自身も迷惑をかけるかもしれないと不安を抱えています。だからこそ、最初のひとことで安心させてあげてください。

そのうえで、具体的に“いつからいつまで休みたいと考えているか”を聞き取ります。育児休業は原則として、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間を取ることができます。まずは本人の希望をしっかりと聞き、いつから人が足りなくなるのかというスケジュールを把握することから始めてみてください。

業務の棚卸しと引き継ぎの準備

休む期間が分かったら、次に行うのは業務の整理です。あの人がいないと仕事が回らないという状況は、小さな会社ではよくあります。つまり、特定の従業員に仕事が偏っている状態です。

育休に入る前に、その人が普段どんな仕事をしているのかをすべて書き出してもらってください。そして、その業務を他のメンバーでどう分担するかを話し合います。どうしても社内でカバーしきれない場合は、業務の一部を外部に委託するなどの工夫も検討してみてください。この引き継ぎの過程で、実は不要だった作業に気づいたり、仕事の手順が分かりやすく整理されたりすることがよくあります。

会社がやるべき手続きと経済的サポート

育児休業中の従業員には、原則として会社から給与を支払う必要はありません。その代わり、雇用保険から育児休業給付金が支給されます。この給付金を受け取るためには、会社がハローワークで手続きを行わなければなりません。また、育休中の社会保険料についても、年金事務所に手続きをすることで会社負担分と従業員負担分の両方が免除されます。

ここで大事なのは、これらの手続きには明確な期限があるということです。たとえば育児休業給付金の初回申請は、原則として育休開始日から4ヶ月を経過する月の末日までに行わなければなりません。手続きが遅れると従業員の生活に関わりますので、専門家である社会保険労務士に任せるか、管轄の役所へ早めに確認することが必要です。

育休を“強いチームを作るチャンス”に変える

人が一人抜ける期間を乗り切るのは、確かに大変なことです。しかし、残されたメンバーで協力して業務をカバーした経験は、会社にとって大きな財産になります。誰かが休んでも回る仕組みができれば、今後別の従業員が急に休んだときにも慌てずに済みます。

働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする。私はいつもそう考えています。従業員が安心して子育てに専念でき、気持ちよく職場に復帰できる環境を整えることは、結果的に会社への信頼や定着率のアップにつながります。

もし、初めての育休対応で何から手をつければいいか分からないと感じたら、一人で抱え込まずにお気軽にご相談ください。会社の状況に合わせた無理のない進め方を、一緒に考えていきましょう。