こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。
前回は、時給引き上げに合わせて設備を整える「業務改善助成金」についてお話ししました。今回はその続きとして、働く時間の長さに注目した制度をご紹介します。
最近、経営者さまから「有給休暇を取らせてあげたいけれど、人手が足りなくて休ませられない」「残業を減らしたいけれど、業務が終わらない」という悩みをよく伺います。ギリギリの人数で回している店舗や工場では、一人抜けるだけでも現場の負担が重くなってしまうのが現実です。
しかし、働きやすい環境を作らなければ人は定着しません。そこでぜひ知っておいていただきたいのが「働き方改革推進支援助成金」です。この制度は、残業を減らしたり有給休暇を取りやすくしたりするために工夫する会社を、国が資金面で後押ししてくれる仕組みです。
今回は、この助成金をどう活用して職場を変えていくかについてお伝えします。
休みやすさと残業削減は待ったなしの課題
有給休暇の取得推進や労働時間の削減は法律上の義務です。たとえば、年10日以上の有給休暇がある従業員に対しては、毎年5日以上確実に取得させなければなりません。これに違反した場合は罰則の対象になります。
しかし、小規模事業者の現場を見渡すと、「休みを増やしたら仕事が回らない」という声が絶えません。経営者ご自身が休日返上で穴埋めをしているケースもよく見かけます。気合だけで乗り切るのにはすでに限界が来ています。だからこそ、現場の作業効率を上げて休める仕組みを作ることが急務になっています。

働き方改革推進支援助成金をどう使うか
そこで役立つのが「働き方改革推進支援助成金」です。これは、労働時間を減らすための機器を導入したり、有給休暇を取りやすくするために就業規則を見直したりした際の費用を、国が一部負担してくれる制度です。
たとえば、これまで手作業で行っていた給与計算やシフト作成を効率化するために、新しい労務管理ソフトやクラウドシステムを導入する費用が対象になります。有給休暇を取りやすくするための就業規則の改定や、スタッフ向けの研修費用なども含まれる場合があります。
新しいシステムを入れて事務作業が早く終われば、その分だけ早く帰宅できるようになります。残業が減ってしっかり休めるようになれば、働くスタッフの心と体にも余裕が生まれます。
申請のタイミングと気をつけるべきポイント
この助成金でも、絶対に守っていただきたいルールがあります。それは前回の業務改善助成金と同じく、必ずシステムの導入や専門家への依頼を行う前に、労働局へ計画を提出して交付決定を受けることです。
先にソフトの契約を済ませてしまったり、お金を払ってしまったりした後に申請しても、助成金は受け取れません。必ず、交付決定の通知を受け取ってから具体的な契約や支払いを進める必要があります。
また、助成金を受け取るには“有給休暇を計画的に取れる制度を新しく導入する”などの目標を達成しなければなりません。無理な計画を立てて途中で挫折してしまわないよう、自社の実情に合った目標を設定することが大切です。まずは、従業員が今月に何時間残業をしていて、有給を何日消化できているかを確認してみてください。
働きやすい職場が、会社を元気にしていく
残業が少なくしっかり休める職場環境は、今のスタッフに長く働いてもらうための大切な基盤です。新しく人を採用する際にも、大きなアピールポイントになります。
働く人を明るく元気にすることが、結果として生産性を高め、会社全体を元気にしていくと私は信じています。制度の仕組みが少し複雑に感じるかもしれませんが、自社だけで抱え込む必要はありません。
就業規則の変更や助成金の申請などで迷ったときは、お近くの専門家へ気軽にご相談いただくのが一番の近道です。会社と働くスタッフの両方が笑顔になれるような、働きやすい職場づくりを一緒に進めていきましょう。