夏の現場を守るために。会社が知っておきたい熱中症対策と安全配慮

こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。

高知の夏は日差しが強く、本当に厳しい暑さが続きますね。屋外での作業はもちろん、空調の効きにくい工場や倉庫などでも、息苦しいほどの熱気がこもることがあります。

最近、建設業や製造業を営む経営者の方から「従業員の熱中症対策について、会社としてどこまで責任を持てばいいのでしょうか」というご相談をよく受けるようになりました。

少し前までは、現場のリーダーが「各自でしっかり水分をとるように」と声をかけるだけで済ませていた会社も多かったかもしれません。しかし、今の異常な暑さは個人の我慢や注意だけで乗り切れるものではありません。

そこで今回は、働く人を熱中症から守るために、会社が知っておくべき法律上の考え方と、今日からできる具体的な対策についてお話しします。

熱中症は会社の責任を問われる労働災害です

まず知っておいていただきたいのは、仕事中に起きた熱中症は「労働災害(労災)」として扱われるということです。会社には、従業員が安全で健康に働けるように配慮しなければならない“安全配慮義務”という法律上の明確なルールがあります。

つまり、「本人の体調管理が甘かった」で片付けることはできません。もし従業員が熱中症で倒れてしまったとき、会社として十分な予防策をとっていなければ、安全配慮義務に違反したとして損害賠償の責任を問われる可能性があります。

だからこそ、会社が主導して計画的に熱中症を防ぐ仕組みをつくる必要があります。経営者が率先して環境を整えることは、従業員の命を守るだけでなく、会社自身を守ることにも直結します。

現場の危険度を数値で見える化する

では、具体的に何から始めればよいのでしょうか。読者の皆様に最初におすすめしたいのは、現場の温度や湿度を測る機械を置くことです。

熱中症の危険度を示す“暑さ指数(WBGT)”を測れる計測器が、ホームセンターなどで数千円で売られています。これを現場に設置し、「この数値を超えたら必ず作業を止めて日陰に入る」という明確な基準を作らなければなりません。人間の感覚は日によって変わるため、数値という客観的な基準に頼ることが大切です。

そのうえで、スポーツドリンクや塩分補給のタブレットを会社側で用意し、いつでも自由に手が届く場所に置いておくことも有効です。喉が渇いてから飲むのでは遅いため、時間を決めて一斉に水分補給の時間を設けるようにしてみてください。

気兼ねなく休める職場の空気をつくる

道具や飲み物を揃えるのと同じくらい大事なのは、働く人が気兼ねなく「少し休ませてください」と言い出せる雰囲気をつくることです。

特に真面目な従業員ほど、「周りが働いているのに自分だけ休むわけにはいかない」と無理をしてしまいがちです。また、ベテランの職人さんは昔の感覚で「これくらいの暑さは気合いで乗り切れる」と考えてしまうことも少なくありません。

なので、体調不良を言い出しやすい環境づくりは経営者や現場のリーダーの大きな役割です。一番効果的なのは、社長や管理者が自ら「今日はいつもより暑いから、こまめに休憩を挟もう」と積極的に声をかけることです。トップが休むことを肯定すれば、現場の空気は少しずつ柔らかくなっていきます。

働く人の元気が、会社の元気につながる

熱中症対策はコストや手間がかかると感じるかもしれません。しかし、従業員が安心して働ける環境を整えることは、結果的に作業の効率を高め、定着率を良くすることにもつながります。

事務所の理念でもありますが「働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする」と私は信じています。従業員を大切にする会社の姿勢は、必ず日々の仕事の質や職場の雰囲気に良い影響を与えてくれます。

本格的な暑さがやってくる前に、まずは現場に温湿度計を一つ置くところから始めてみてください。その小さな第一歩が、みんなの笑顔と安全な職場を守ることにつながります。