初めての雇用で絶対に外せない「労働条件通知書」の大切な役割

こんにちは。高知で小規模事業者の労務をサポートしている、おはら社会保険労務士事務所の小原です。

新しくスタッフを迎える瞬間はとても嬉しく、頼もしい気持ちになるものです。特に初めて人を雇うときは、経営者の方にとっても新しい挑戦への大きな一歩になります。

しかし、採用が決まった後の手続きや準備で、何から手をつけたらいいのか分からずに戸惑う方も少なくありません。日々の現場の仕事が忙しいと、つい手続きを後回しにしてしまうこともあります。

そんな忙しい経営者の方に、採用が決まったら真っ先に準備してほしい書類があります。それが “労働条件通知書” という、働くときのルールを記載した書類です。今回は、この書類がなぜ必要なのか、分かりやすくお伝えします。

口約束はトラブルの元!書面で渡すのは法律の義務です

スタッフを雇うとき、「時給はこれくらいで、週に何日か入ってね」と口頭だけで約束を済ませてしまうケースを見かけることがあります。お互いの信頼関係があるから大丈夫と思いがちですが、実はこれが後々の大きなトラブルに繋がることがあります。

人間の記憶はあやふやなもので、時間が経つと「そんな話は聞いていない」「こう言ったはずだ」と、すれ違いが生まれてしまいます。お互いが悪気なく誤解してしまうのは、とても悲しいことです。

労働基準法という法律では、働く時間や給料などの重要なルールを、必ず書面でスタッフに渡さなければならないと定めています。これは法律上の義務であり、会社の規模に関わらず、すべての事業主に求められる手続きです。

通知書には何をどこまで書けばいいのか

労働条件通知書には、必ず書かなければならない項目が決まっています。具体的には、いつからいつまで働くのかという契約の期間、働く場所、実際に行う仕事の内容、始業と終業の時間、休憩時間、お休みの日、そして一番大切な給料の計算方法や支払日などです。

例えば「給料日は毎月25日です」とか、「水曜日と日曜日が固定のお休みです」といった、毎日の働き方に直結する内容を細かく記載します。専門的な難しい言葉を並べる必要はありませんが、誰が見ても誤解のないようにハッキリと書くことが求められます。

もし、パートタイムやアルバイトの方を雇う場合には、昇給や賞与の有無、退職金の有無についても明記しなければなりません。これらの項目が1枚の紙にスッキリと収まっていることで、スタッフも安心して働き始めることができます。

雇う側と働く側の安心につながる大切な一歩

この書類を準備することは、単に法律を守るためだけのものではありません。私は「働く人を明るく元気に。それが、会社を元気にする」という想いを大切にしています。この書類は、その信頼関係の土台を作るためのものです。

最初にしっかりとしたルールが示されていると、働くスタッフは「この会社は自分を大切に扱ってくれている」と感じて安心します。経営者側にとっても、最初にルールを明確にしておくことで、後から無理な要求をされたり誤解されたりするリスクを防ぐお守りになります。

お互いの権利と義務を最初にカチッと決めておくからこそ、余計な心配をせずに仕事に集中できるようになります。まずは自社に使えるような労働条件通知書のひな形があるかどうか、書類の棚やパソコンのデータを一度確認してみてください。

まずは厚生労働省のひな形を確認してみましょう

もし手元に適切な書類が見当たらない場合は、インターネットで「厚生労働省 労働条件通知書 ひな形」と検索してみることから始めてみてください。国が用意した標準的なフォーマットを無料で見ることができます。

ただ、そのひな形をそのまま使うと、自社の働き方に合わずに使いづらいと感じる部分も出てくるかもしれません。そのときは、自社の営業時間や休日の仕組みに合わせて、少しずつ調整していくと整理が早いです。

どうしても書き方に迷ったり、自社の特殊な勤務形態に合わせたい場合は、身近な専門家に相談してみるのも一つの方法です。新しく入るスタッフと会社が、お互いに気持ちよくスタートを切れるよう、最初の準備を丁寧に整えていきましょう。